対馬しまの文化芸術活動推進実行委員会 対馬しまの文化芸術活動推進実行委員会

活動実績

白嶽(美津島町)

約1300年の月日を超え、ゆかりの地「奈良」に対馬の琴奉納

2018.12.16

対馬における古代琴製作「旅人の琴プロジェクト」を行ううえで、私たちは様々な方々からご協力をいただきました。

中でも、奈良の當麻寺様(藤原氏に由来)と、春日大社様(和琴の視察)には多大なご協力をいただきました。

当実行委員会では万葉の時代に思いを馳せ、製作した琴を當麻寺と春日大社に奉納しました。

この先も、奈良と対馬がこの和琴を通じて、繋がっていくことを願っています。

 

 

春日大社にて

 

 

奉納にて集合写真

 

~「旅人の琴」製作にあたって~

「万葉集」には729年大宰府長官「大伴旅人」は大和朝廷の要職にあった藤原房前に梧桐で作られたこと琴を贈るにあたり歌二首を添えた書状をしたためている。

書状には、琴に関して
「この梧桐製の日本琴(大和琴)は対馬の結石山(ゆひしやま)の孫枝から作られたものです。」
「・・・・良き匠に遭ひてかざりて小琴を為らる。」
「・・・・音の少なき・・・・」
「・・・・膝のへわが枕かむ。」
などの記述があり、このことから考えると、結石山の梧桐で作られた日本琴は現在、正倉院に保存されているような2m前後もある琴ではなく、小さく持ち運びに便利で自由に膝の上に載せて引くことができたが、小型であるために音量が乏しかったと考えられる。
また「万葉集」に載せられている和琴については日本固有の楽器で、六弦琴であり、飛鳥時代から奈良時代にかけて膝の上に載せて弾いたといわれている。

今回、奉納した六弦琴はこのような記述を参考にするとともに、世界的ギタリスト山下和仁氏の助言、奈良県「春日大社」「當麻寺護念院」、滋賀県「守山市埋蔵文化センター」「栗東市博物館」など多方面の方々のご支援のもと製作することができた。

古代対馬の琴が、今回製作したような形であったか推測の域を出ないが、琴の材料は、対馬上県町(結石山付近)の梧桐(アオギリ)、琴柱には楓を使用し、いにしえの対馬文化を取り入れた琴の完成となった。

【製作】 小田 忠彦